DTMでは必須のモニタースピーカーですが、デスクに ”直置き” すると性能が落ちることをご存知でしょうか?
モニタースピーカーの「性能」や「特性」を最大限に発揮させるためには、「スピーカースタンド」は重要なアイテムです。
そこで今回は、スピーカースタンドの役割と効果の解説と、筆者愛用が愛用するISO Acoustics製品を紹介していきます。
スピーカースタンドの『役割』と『効果』は?
音響環境への影響が大きいスピーカースタンドは、正しく使うと ”クリアな音場” を実現し ”精巧” なミックスダウンが可能となります。
スピーカースタンドには主に2つの役割があります。それぞれ、どのような役割と効果があるのかを解説しています。
【役割①】『リスニングポイント』の最適化
スピーカースタンドの役割の1つ目は、”リスニングポイントの最適化” です。最適なリスニングポイントにするには、次の手順でスピーカーを設置していきます。
- リスニングポイントの直線上を中心と捉える。
- 両スピーカーを中心から均等な距離に設置する。
- ツイーターと耳の高さが同じになるようにスタンドの高さを調整する。
- 両スピーカーの直線上にリスニングポイントがくるように角度をつける。
最適化されると『スイートスポット』が生まれる
スピーカースタンドによってリスニングポイントが最適化されると、シンガーや楽器プレイヤーが目の前にいるかのように聞こえる「スイートスポット」が発生します。
DTMおいてスイートスポットでの作業は必須。言うまでもなく、レコーディング、ミックスダウンなどの緻密な作業には大きく影響が出てきます。
音響理論上リスニングポイントが適切でなければ、高級モニタースピーカーでも性能が引き出せず台無しです…。
【役割②】不要な『振動』の軽減
スピーカースタンドの役割の2つ目は、”不要な振動の軽減” です。デスクにスピーカーを直に置いた場合、次のように振動して耳に届きます。
- 音が出力されるとスピーカーが全体が振動する。
- スピーカーからデスクに振動が伝わり共鳴する。
- スピーカーとデスクを振動した両方の音が耳に届く。
振動が軽減されると『クリアな音質&音場』が生まれる
スピーカーが鳴っているときに本体に触れると振動を感じることができます。その振動が作業机や床などに伝わると…
はい、音の増幅、共鳴や共振によって正確なモニタリングができなくなるのです。
モニタースピーカー専用のスタンドは、振動を最小限にする構造で設計されています。音の濁りや定位のブレが抑制されることで、クリアな音質と音場が実現できます。
スピーカースタンドは高価格なものばかり・・・
DTMをするなら高クオリティな機材で揃えたいところ。ですが、スピーカースタンドでも本格仕様になると5、6万円は超えてきます。
もともと音響設計のない一般的な住宅では、部屋や建物の共振を抑えるにも限界があるので、高級スピーカースタンドの恩恵はさほど受けられません。
一方で、数千円の安価品では ”振動は吸収されない”ので考えもの。
一般住宅でモニタリングに最適なスピーカースタンドは、世界中のオーディオマニアが愛用するメーカー『ISO Acoustics』がオススメです。
筆者愛用!お手頃価格の『ISO-130』を紹介
筆者の自宅スタジオでは、ISO Acoustics製「ISO-130」を10年ほど愛用しています。
当時10,000円前後で購入しましたが、10年経ったてもサビや劣化は一切なく、現在でも新品同様の性能でコスパ最強すぎます(嬉)
じつは「木」「レンガ」「発泡スチロール」など、様々な素材のスピーカースタンドを試した時期もありましたが、どれも良い結果は得られず…
ISO Acoustics特有の上部・下部エレメントとパイプ挿入部のゴムで振動、共鳴を抑える構造は、体感からも ”理に適っている” と関心します。
音の『輪郭』が見える!スピーカーの性能を引き出す
メーカーの公式動画は、「EQ処理してる?」と疑ってしまうほど音質が変わりすぎですが…(苦笑)
たしかに、ISO-130にスピーカーを載せるだけで音響環境の改善を実感できます。この動画ほどではないですが、筆者の自宅スタジオでも ”変化”がありました。
- 低音が「ブフン!」から「ブン!」と締まって聞こえるようになった。
- 中音域がスッキリして、明らかにボーカルと楽器の分離が良くなった。
- 中高域の明瞭感が増して、音が前に出てくるようになった。
- 音量大のとき、デスク周辺の書類や小物の共鳴・共振音がなくなった。
定位が中央に寄ってしまう?そんなときは・・・
筆者の場合ですが、ISO-130にスピーカーを立てて左右にPANを振ると、やや中央寄りに聞こえるようになりました。
その場合は、スピーカーの ”位置を左右に広げる” ことで解決します。
音響環境が改善されたことで、これまで曖昧に聞こえていた定位が明確になった可能性があるかもしれませんね。
そもそも『ISO Acoustics』とは?
ISO Acoustics(アイソアコースティクス)は、ハリー・ワイスフェルド氏が2012年に創設したオーディオ用アイソレーション製品を販売するカナダのブランドです。
独自に開発されたアイソレーションシステムは特許取得済みで、世界60カ国以上のプロ現場やオーディオマニアに愛用されています。
ISO Acousticsのアイソレーターは「ホームオーディオ」と「プロオーディオ」の2種類で構成され、ISOシリーズは ”プロ仕様” のため楽曲制作やプレイヤーに最適です。
ISOスタンドの種類
種類 | 用途 | 耐荷重 | サイズ(W×D×H) |
ISO-130 | 小型スピーカー向け | 9kg | 130×152×71~210mm |
ISO-155 | 中型スピーカー向け | 18kg | 155×190×76~210mm |
ISO-200 | 大型スピーカー向け | 34kg | 200×255×95~215mm |
ISO-200SUB | サブウーファー向け | 34kg | 200×255×95mm |
ISO-430 | 楽器用アンプ向け | 45kg | 430×230×90mm |
ISOスタンドの「ISO-XXX」の数字は、スピーカースタンド本体の横幅を表しています。自宅でDTMをする方は「ISO-130」の一択ですね。
スピーカーの横幅よりも少し小さめのサイズでちょうど良いです。ギタリストやベーシストの方で、小型アンプ使っている方は「ISO-430」もオススメです。
いずれも、1万円前後でプロ仕様のアイテムが購入できるので手頃な価格帯といえます。
ISO-PUCKの種類
種類 | ユニット数/箱 | 耐荷重 |
ISO-PUCK mini | 8 | 2.75kg×8ユニット |
ISO-PUCK | 2 | 9kg×2ユニット |
ISO-PUCK 76 | 2 | 18kg×2ユニット |
スタンドを置きたくない or 置けないという場合は、モニタースピーカー用のインシュレーターにするのも1つの手段です。
ISO Acoustics ISO-PACKシリーズも特許取得済みで、ISOスタンドと同様の性能を備えています。
自宅でDTMをする方なら「ISO-PUCK mini」で十分すぎます。価格もISOスタンドと同様に1万円前後で購入できます。
最後に
楽曲制作をより効率的に、より精巧に、より高音質に…と理想を叶えられるアイテムほどプロフェッショナル向けの高価なものになっていきます。
そんな中でも、ISO Acoustics のスピーカースタンドやインシュレーターは、プロ仕様なのに誰もが入手しやすいアイテムです。
ぜひこの機会に、そのサウンドの違いを体感してみてはいかがでしょうか。