ギターアンプの謎、『クラス』の正体とは?

GUITAR

\この記事でコレがわかる/

    • ギターアンプの「クラス」とは?
    • クラスの種類と特徴
    • 各クラスのメリット・デメリット
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ギターアンプの「クラス」とは?

ギターアンプの種類やスペックの説明に登場するクラス(級)とは、”パワーアンプの動作方式” のことを言います。(優劣やグレードを表す「等級」とは違います。)

パワーアンプは音を増幅させる役割をもち、その動作方式によって ”音質”、”出力”、”効率” が違ってきます。

ここでは、ギターアンプに関連する「A級」「B級」「AB級」「D級」の特徴をわかりやすく解説していきます。

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クラスA(A級)の特徴

(▲人気クラスAアンプ『57 Custom Champ(Fender)』)

クラスA方式は、入力信号の有無にかかわらず ”常に真空管をフル可動” することで、「音の立ち上がりが早い」「ノイズの少ない高音質なサウンド」を可能としています。

ただし、フル可動の影響で「真空管の寿命が短くなる」といった欠点や、発熱しやすいことから「大きな音量を稼げない」という特徴もあります。

パワー管に使用する真空管は1本(シングルエンド)と本数が少ないため、トラブル時(「音が出ない」「ノイズが出る」など)も原因を調べやすく、簡単に交換ができます。

小音量でクリアなサウンドを得意とし、メンテナンスしやすい特徴から、小型チューブアンプ(5W~15W)やマイクプリアンプなどに多く採用される方式となっています。

【まとめ】クラスAの特徴
  • メリット
    ・ノイズが少なくクリアな音質
    ・音の立ち上がりが早い
    ・メンテナンスしやすい
  • デメリット
    ・出力が小さい
    ・真空管の消耗が激しい
    ・重量が大きい
「疑似A級」なども存在しますが、ギターアンプの場合は「A級」のようなトーンを総じて「クラスA」と表記されます。

クラスB(B級)の特徴

クラスB方式は、2本の真空管を交互に働かせる(プッシュプル式)ことで、真空管の寿命を延ばし、大音量・高出力を可能としました。

ただし、真空管が切り替わるタイミングで「クロスオーバー歪み」という音のズレが発生し、レスポンスが遅くなるためギターアンプには不向きとされました。

このような理由から、クラスBのギターアンプは見かけることはありません。

【まとめ】クラスBの特徴
  • メリット
    ・出力が大きい
    ・真空管の消耗を軽減できる
  • デメリット
    ・音のレスポンスが遅い
    ・重量が大きい

クラスA/B(AB級)の特徴

(▲人気クラスA/Bアンプ『MARK FIVE 35 HEAD(Mesa Boogie)』)

クラスA/B方式はギターの ”信号の強さ” に応じて真空管が働きます。クラスAとクラスBを組み合わせたバランスの良い方式で、真空管の消耗を軽減し、レスポンスの遅れも少ない特徴をもちます。

少ない消費電力で大きな出力が得られることから、現行のハイゲインアンプの多くに採用されるほか、オーディオ用アンプでも人気のある方式です。

クラスA/Bアンプはパワー管を2本以上使用するため、真空管の特性を揃える「マッチング」や、真空管にかかる電圧を調整する「バイアス調整」などの特殊なメンテナンスが発生します。

【まとめ】クラスA/Bの特徴
  • メリット
    ・出力が大きい
    ・真空管の消耗を軽減できる
  • デメリット
    ・メンテナンスが大変
    ・重量が大きい

クラスD(D級)の特徴

(▲人気クラスDアンプ『Mach2-COMBO-12-HD(Quilter)』)

クラスD方式はデジタル回路の採用により、「メンテナンスが要らない」「発熱量が少ない」「電力効率が高い」などの特徴があります。各クラスの電力効率を比べると、

「クラスA:30~40%」「クラスAB:50%」「クラスD:90%」とクラスDは圧倒的です。その反面、「高周波ノイズ」や「電源の変動」の影響を受けやすい欠点もあります。

クラスAやクラスA/Bに比べると ”音質は劣る” と評価されますが、現在では改善が進み、音質を重視する「据え置き型AV機器」でも採用されるようになりました。

【まとめ】クラスDの特徴
  • メリット
    ・出力が大きい
    ・メンテナンスが要らない
    ・重量が小さい
  • デメリット
    ・ノイズが発生しやすい
    ・電源の変動に弱い
    ・クラスA、クラスA/Bに比べて音質が劣る
ちなみに、名称の由来はデジタル(Digital)の「D」ではなく、クラスCに続く方式であることから「クラスD」と名付けられています。

さいごに

各クラスの特徴を解説してきましたが、「クラスAだから音が良い」「クラスDは音が悪い」と決めつけず、実際に音を出して自分好みのギターアンプを探すことをおすすめします。

サウンド・音質でいえば、「ギター」「ピックアップ」「スピーカー」「キャビネット」などの組み合わせでも変わりますし、アンプメーカーによって回路も違ってきます。

(回路や動作原理について詳しく知りたい方は、アナログ回路設計支援サイト『Analogista』がおすすめです。)

また、自宅練習用の小型アンプを知りたい方は、こちらの記事でタイプ別にまとめていますので参考にしてみてください。

それでは快適なギターライフを♪

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