本当に知ってる? エレキ弦の『正しい選び方』を解説!

GUITAR

突然ですが、あなたが次のような理由でエレキ弦を選んでいるのなら、ギターの上達や音作りの妨げになっています。(最悪の場合、ギターが壊れる可能性もあります)

  • はじめて買った弦を使い続けている
  • なるべく安い弦を選んで購入している
  • 友人・知人が薦める弦を使っている
  • なんとなく気になった弦を張っている

このページでは、弦の「素材」「種類」などの基本的なことから、あなたのギターや演奏スタイルに合う弦の選び方まで詳しく解説していきます。

ギター歴25年のKanpapaが、これまで学んだ知識や経験にもとづいて弦の選び方についてシェアしていきます。
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弦は「サウンド」「演奏性」に影響が大きい

ご存じの通り、ギターは弦がなければ演奏できないので「生命線」とも云えます。そして、サウンドや演奏性においても非常に影響が大きいアイテムなのです。

  • 弾きやすさ
  • 音色
  • パワー
  • サスティーン
  • 耐久性
  • コスト

ギター初心者の方は「こんなに一度に言われても…」と困惑するかもしれません。しかし、中級者レベルでも弦選びに困っている人が多いものです。

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エレキ弦には「3つの素材」がある

エレキ弦の材質・素材は3種類あります。それぞれ音質、構造、価格帯など異なる特徴をもっていますので把握しておきましょう。

エレキ弦の素材
①ニッケルエレキ弦のスタンダード。種類が多く安価。
②ステンレスクリアな音質でサビに強い。硬く耐久性がある。
③コーティング弦を薄い被膜で覆い耐久性を上げた弦。高価。

①「バランス重視」のニッケル弦

エレキギターの弦では最もポピュラー。ギター出荷時のほとんどに使用されるほど普及率の高い弦です。

ニッケルは強い磁性体の金属なのでピックアップとも相性がよく、それほど価格が高くないこともあり、”品質・音質・コスパのバランスが良い素材”で人気です。

ほかの弦に比べてると、弦を押さえた感触やサウンドが「ナチュラル」「柔らかい」印象なのも特徴の一つです。

②「リード向き」のステンレス弦

調理器具や工業製品でも扱われているように、ステンレスは「錆び」に強く「耐久性」の高い素材です。キレのあるシャープなサウンドが特徴で ”カッティング” に向いています。

また、煌びやかな高音と伸びの良いサスティーンからギターソロを担当するリードギター向きの素材でもあります。

ステンレスはニッケルと比べると高価な素材なので、販売価格がやや上がる場合が多いです。

③「耐久性重視」のコーティング弦

ELIXIR(エリクサー)によって一挙に広まったコーティング弦は、弦の周りに ”特殊なコーティング” を施して耐久性を上げた技術で製造されています。

錆びにくく長持ちすはしますが、コーティングされていない弦と比べると音ヌケが悪い傾向にあります。非常に高価な弦なので、ライブ等で頻繁に弦交換する場合は向きません。

コーティング弦は高価なことからニセモノが出回っています。あまりにも安い場合は手にしないように注意してください。

エレキ弦には「3つの種類」がある

ギターの4・5・6弦は、ニッケルやステンレスの ”巻線” で ”芯線” をぐるぐると巻いて作らているので「巻弦(まきげん)」と呼ばれます。

この巻き弦も、巻き方や種類によって特徴が異なるので把握しておきましょう。

エレキ弦の種類(巻弦)
①ラウンドワウンド巻線の断面が丸くザラっとした感触。最もポピュラーなタイプ。
②フラットワウンド巻線の断面が板状で滑らかな感触。温かみのあるサウンド。
③ハーフラウンドラウンドワウンドを研磨し、両方の特性もつサウンド。

①「マルチ型」のラウンドワウンド

ラウンドワウンドは最もポピュラーな巻き方で、巻線の断面が ”丸く” なっているので弦を押さえるときにザラッとした感触がします。

明るくはっきりとしたブライトな音色で、サスティーンに優れており、倍音成分も豊富な振動をするのが特徴です。

出荷時のギターには、ほぼラウンドワウンドが張られています。

②「JAZZ型」のフラットワウンド

フラットワウンドは、巻線の断面が ”板状(平面)” になっているので弦を押さえたときにツルツルとした感触がします。

全体的に倍音成分が抑えられていることから、ラウンドワウンドとは対照的に丸みのある甘いサウンドが特徴で、JAZZなどのジャンルに適しています。

触れてみると心地よく、”しなやかさ” を兼ねているので弾きやすい弦です。

③「ミックス型」のハーフワウンド

ハーフワウンドはラウンドワウンドを研磨し、感触はフラットワウンド、音色はラウンドワウンドといった双方の特徴を兼ね備えています。

「弾きやすさもサウンドも妥協したくない!」という方に向いている巻弦となります。

ハーフワウンドは加工してあるぶん、ラウンドワウンド、ハーフワウンドよりも価格が上がります。

エレキ弦の「太さ」は5種類以上ある

弦の太さは「ゲージ」といい、直径の単位を「インチ」で記されます。弦の太さの種類には、基本的な5種類のほかに独自の組み合せによるカスタムゲージがあります。

エレキ弦の太さ一覧
①エクストラ・ライトゲージ.008、.010、.015、.021、.030、.038
②スーパー・ライトゲージ.009、.011、.016、.024、.032、.042
③ライトゲージ ※レギュラー.010、.013、.017、.026、.036、.046
④ミディアムゲージ.011、.014、.018、.028、.038、.049
⑤ヘビーゲージ.012、.016、.024、.032、.042、.052
※左から順に、1弦、2弦、3弦、4弦、5弦、6弦と並んでいます
ゲージの表示は「10-46」のように桁を省略されることも多く、「イチレイヨンロク」「テンヨンロク」など人によって呼び方が違うことがあります。

弦の太さと特徴

弦の太さは、弾き心地やサウンドにも影響します。ちょうど中間のライトゲージは ”レギュラーゲージ” とも呼ばれるので、基準にすると違いがわかりやすくなります。

エレキ弦の太さと特徴
①エクストラ・ライトゲージ繊細なサウンド。押さえやすく女性に人気のゲージ。
②スーパー・ライトゲージ現代の標準となるゲージ。オールジャンルに人気。
③ライトゲージ ※レギュラー最もポピュラーなゲージ。オールジャンルに人気。
④ミディアムゲージ太くしっかりしたサウンド。JAZZ/ブルースに人気。
⑤ヘビーゲージ大音量でロングサスティーン。メタル系に人気。
弦が細い … 押弦しやすく、軽快なサウンド
弦が太い … 押弦しにくく、力強いサウンド

エレキ弦を選ぶときの「3つのポイント」とは?

ここからが本題で、”押さえやすい” という理由で細い弦を選んだり、 ”パワーが欲しい” という理由で太い弦を選ぶなど安直な選び方はオススメしません。

意外にも、中級レベルのギタリストでも ”正しい弦の選び方” を知らないことが少なくありません。次の3つのポイントは覚えておきましょう。

①ネックスケールによって適したゲージがある

ギターのネックスケール(弦長)は、大きく「ショート」「ミディアム」「ロング」の3つに分けることができます。下表は、一般的なネックスケールとゲージの目安です。

ネックスケールは長いほどテンションが強くなり、押弦に力が必要になります。一方で、弦が細いと柔らかすぎて弾きにくく、音も軽くなるのでバランスが大切です。

弦長ゲージ機種
ショートライト、ミディアムジャガー、ムスタングなど
ミディアムライトレスポール、フライングVなど
ロングライト、スーパーライトストラト、テレキャスなど
Paul Reed Smithは独自のネックスケールで、ストラトとレスポールの中間サイズとなっています。

太い弦を張るときには注意!

ダウンチューニングや、7弦ギターなどのスーパーロングスケールはミディアムゲージ以上がおすすめです。ただし、ダウンチューニングには注意が必要です。

金属製ナットは問題ないですが、樹脂や骨・牙などの素材で ”ナットの溝が合わない場合” は破損する可能性があるのでリペアショップ等に相談しましょう。

ネックスケールは日本語で「弦長」と呼ばれ、 ”ナットからブリッジまでの長さ” のことを表します。長さの違いにより、サウンドや演奏性が変わります。

②演奏スタイルによって適したゲージがある

ミディアムゲージ以上の太い弦は、サウンドも太くなる反面で弦のテンション(張り)が高くなり演奏しづらくなるデメリットがあります。

しかし、スライドバー使った ”ボトルネック奏法” では、押弦やチョーキングを多用しないので影響が少なく、太い弦にした方がメリットが多くあります。

また、JAZZ・ブルース・HR/HMでは ”半音・全音下げチューニング”にすることでテンションを和らげ、さらに重厚なサウンドにする常套手段もあります。

逆に、細い弦で半音・全音下げチューニングにした場合は、テンションが足りずにビビリ音が出たり、チューニングが安定しないなどの弊害が出てきます。

③いろんな弦を試すときの注意点

ここまで解説してきた内容でギター弦の理解は深まったと思いますが、いろんな種類があって「自分あった弦はどれ?」と悩んでしまいますよね(苦笑)

たしかに、自分にぴったりの弦が見つかるまでは時間がかかりますし、演奏スタイルとともに変わっていくかもしれません。その場合は、次のフローを参考にしてください。

【注意点①】弦を「はじめて選ぶ」とき

はじめに選ぶエレキ弦は、あなたにとっての弦選びの基準になります。まずは、基本通りに ”最もポピュラーな組み合せ”から試すことをオススメします。

  1. 自分のギターに合ったゲージ
  2. ラウンドワウンド弦
  3. ニッケル弦
握力に自身のない方・女性・子供の場合は、スーパー・ライトゲージを基準にするのも良いでしょう。

【注意点②】弦の「太さ」を変えるとき

弦の太さが合っているかの判断は、”ビビリ音がしないか”、”チョーキング時の力加減” が一番わかりやすいです。

  • とても力が必要な場合 ⇒ 1段階細いゲージ
  • 柔らかすぎる or ビビリ音がする場合  ⇒ 1段階太いゲージ
弦高が適切に調整されていることを前提としているので、弦の太さは合っているのにビビリ音がする場合はリペアショップに相談しましょう。

【注意点③】弦の「種類」を変えるとき

弦の太さが決まるとサウンドの違いも感じてみたくなると思います。演奏するジャンルによって弦の種類を変えてみるのも1つの考え方です。

  • エッジの効いたサウンドの場合
    ⇒ ステンレス+ラウンドワウンド
  • 温かみのあるサウンドの場合
    ⇒ ニッケル +フラットワウンド
  • その他の場合
    ⇒ ハーフワウンド
サウンドの変化は、ピックアップ、トーンノブ、アンプ、エフェクターの要素の方が大きいです。気に入った弦が見つかれば変えなくても良いでしょう。

エレキ弦メーカーおすすめ5撰!

ここからは、Kanpapaがこれまで使用した数々の弦の中から「パワー」「サスティーン」「耐久性」「弾きやすさ」「コスト」の5つの観点で評価したオススメを紹介します。

いずれも、楽器店やECサイトで購入しやすい弦になりますので是非試してみてください。

①ロックサウンドといえば『DR』

 MIYAVI、山本 恭司、スガシカオ、町田 文人(ZARD)、角野 秀行(TUBE)、山崎まさよし、ジョニー・ウィンター、ラリー・コリエル ほか使用。

【DR】HI-BEAM(ハイ・ビーム)

六角芯線にニッケルワウンド巻線という組み合せによる太く鋭いサウンドと、耐久性にも優れている点が最大の特徴。

ハードロック、ヘビーメタルなどでギラギラとした攻めのサウンドが欲しいときは『HI-BEAM』シリーズが1番です。

【DR】TITE-FIT(タイト・フィット)

HI-BEAMほどギラついたサウンドは要らないが、攻めたサウンドが欲しいという場合は、『TITE-FIT』シリーズがおすすめです。

ニッケルメッキワイヤ+ラウンドワウンドの組み合せによる、”太く抜けの良いトーン” と ”豊かなサスティーン” はロックンロール、ブルース、ジャズによく合います。

【DR】NEON MULTI COLOR(ネオンマルチカラー)

ミュージックビデオや、ライブステージで蛍光色に光る弦を見かけたことがあるのではないでしょうか?その正体がこの『NEON MULTI COLOR』です。

多少コストはかかってしまいますが、独自のコーティング技術で通常の3~4倍の長寿命を実現しています。DRサウンドはそのままに演出にもなるおすすめの弦です。

②存在感のあるサウンドなら『Dunlop』

バディー・ガイ、ビリー・ジョー・アームストロング、スラッシュ、メタリカ、エリック・ジョンソン、ジョン・ペトルーシ、ベン・ハーパー ほか使用

【Dunlop】DENシリーズ

低音・中音・高音すべてが”パワフル” かつ ”バランス” の良い『DEN』シリーズは、バンドにギターが1名の場合でも厚みのあるサウンドを演出できます。

また、ほど良いテンション感で弾きやすくギター初心者にもおすすめです。

③超定番サウンドの『ERNIE BALL』

ジョン・メイヤー、エリック・クラプトン、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、スティーヴ・ヴァイ、キース・リチャーズ、SUGIZO、真島昌利 ほか使用。

【ERNIE BALL】Slinkyシリーズ(スリンキー)

ERNIE BALLは、エレキギター専用弦を世界で初めて開発したアメリカの老舗メーカー。『Slinkyシリーズ』の ”中高域は最高峰” と多くのギタリストに愛用されています。

他社製品よりも「寿命が短い」というデメリットもありますが、ライブの本数が多く、頻繁に弦交換するギタリストにとっては問題ないでしょう。

【ERNIE BALL】Slinky Stainless Steelシリーズ


サビに強く耐久性に優れたステンレス・スチールワイヤを使用した『Slinky Stainless Steel』シリーズは、『Slinkyシリーズ』の弱点を克服しました。

ややテンションが高めで、音の輪郭がくっきりとした硬めのサウンドは、切れ味の鋭いカッティングに最適です。

④ナチュラルなサウンドなら『Fender』

ジミ・ヘンドリックス、イングヴェイ・マルムスティーン ほか使用

③【Fender】Pure Nickelシリーズ

『Pure Nickel』シリーズをシングルコイルのギターに張れば、枯れたような ”ヴィンテージ感溢れるサウンド” が際立ちます。

DRやDunlopとは真逆の ”角の取れた繊細な音色” は、昨今話題のネオ・ソウルなどのお洒落な楽曲にもおすすめです。

⑤世界標準サウンドの『D’Addario』

ブライアン・セッツァー、ジョー・サトリアーニ、レニー・クラヴィッツ、アンディ・ティモンズ、マーティー・フリードマン、リッチー・コッツェン ほか使用。

⑤【D’Addario】EXLシリーズ

『EXL』シリーズは世界中のギタリストから ”圧倒的な支持” を得ており、ニッケルワウンドのブライトなサウンドはあらゆるプレイスタイルに対応できます。

上位版に『NYXL』シリーズがは、完全プロ仕様で高値になるのであまりオススメしません…。『EXL』シリーズで、ライブ、レコーディングなど全てに十分対応できます。

Kanpapa愛用弦を紹介!

僕は、サポートギターとして参加するバンドのジャンルによって弦メーカーは変えるタイプですが、デフォルトはD’Addario(10ー46)を使用します。

近年、レガートフレーズを好むようになってからレギュラーでは少しシンドイと感じるようになり、スーパーライトゲージ(09ー42)にしてみるも柔らかすぎて引きづらい…。

そこで、間をとった ”9.5-44” にするとドハマリ!

フルピッキングもレガートもちょうど良く、レギュラーと遜色ない音の厚みが出るので超オススメですよ。

\ Kanpapaオススメの弦! /

【おまけ】弦を長持ちさせるためには?

素材によって劣化の進行は変わりますが、弦は「消耗品」なので錆びたり音抜けが悪くなったりと、いずれ使い物にならなくなるのはご存じのとおり。

とはいえ、そこそこの値段がするので長持ちさせたいですよね?

クロスでササッと拭くのも良いですが、弦メンテナンス用の「クリーナー」や「潤滑剤」を使うことで、”弦が長持ち+弾きやすくなる” ので是非試してみてください。

①【Phoenix】WIPER PAD

弦の表・裏・横と全面の汚れをササッとクリーニングすることができ、自然劣化を抑えられるので、たまにしかギターを弾けない方には必需品です。

②【D’Addario】String Lubricant and Cleaner

プロ御用達の弦の汚れ落とし&潤滑剤。少し高価ですが、内容量が多く、品質も確かなので1度は使って欲しいアイテムです。

③【GHS】Fast Fret

こちらの弦の汚れ落とし&潤滑剤は、非常にコスパが良く、バンドマンに愛用者が多いアイテムです。あなたの友人も使っているのでは?

④【TONE】Finger-ease

Kanpapaも愛用する潤滑剤。本当はダメかもしれませんが、弦・フレットボードだけでなくボディにもスプレーを吹きかけ、クロスで拭いて一挙にクリーニングしてます(苦笑)

最後に

最後に、伝え忘れていた ”安い弦” についてお話します。結論から言うと、「安い弦は下手くそになるから絶対使うな。」です。

初心者ギタリストに多いのですが、”練習 ⇒ 安い弦、本番 ⇒ 高い弦” と使い分ける方がいます。極論を云えば、両方安い弦の方がまだマシです。

今回、長々と解説してきたように、同じゲージでも素材・種類・メーカーによって弦のテンションやサウンドが違うので本番でミスが発生するリスクが高くなります。

また、”安い弦” は「チューニングが不安定」「劣化が早い」などのデメリットがあり、上達の妨げになります。100円~200円で手に入れられなくなるモノの方が大きいです。

ということで、自分にピッタリの弦を正しく見つけてくださいね♪

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