\本記事はこんな方にオススメ/
- シングルP.Uに500kΩポットはNG?
- Vol、Toneのポット抵抗値は揃える?
- 自分でポット交換をやってみたい!
はじめに
(▲今回の検証で使用したギター ※シングル&ハムバッカー)
本ページでは、SHタイプのギターに対して抵抗値250kΩ/500kΩのポットを「ボリューム」「トーン」に4つの組み合わせで接続させたサウンド検証を紹介しています。
一般的にシングルコイル:250kΩ、ハムバッカー:500kΩでボリューム、トーンの抵抗値を揃えるので、揃えなかった場合の ”音の違い” を気になる方は多いと思います。
ピックアップ交換に比べて、ポット交換は ”低コストでお手軽にカスタマイズできる” ので、ギターの音に満足していない方、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
今回はSH(フロント:シングル、リア:ハムバッカー)タイプで検証していますが、SSH、HSタイプでも同様の考え方ですので参考にしてみてください。
検証条件
(▲デフォルトは、V:250kΩ、T:250kΩ で搭載されていた)
4つの組み合わせ
- V:250kΩ、T:250kΩ ※デフォルト
- V:250kΩ、T:500kΩ
- V:500kΩ、T:250kΩ
- V:500kΩ、T:500kΩ
※V … ボリューム、T … トーン
今回は上記4つの組み合わせて録音しました。実践的なイメージがしやすいように、クリーン、クランチ、オーバードライブで2段階(10、7)のボリュームで弾いています。
音作りはアンプシュミレーター「AmpliTube」から3種類(CL/CR/OD)のアンプを選択し、それぞれ同じセッティングでシングル、ハムバッカーの録音を行っています。
録音データのほかに、波形画像も用意しています。ポット抵抗値によって、シングルコイル、ハムバッカーそれぞれの波形がどのように変化するかも注目していきましょう。
各組み合わせの録音データは、ボリューム10、ボリューム7の順番で(8~10小節ずつ)流れます。
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【検証】クリーン
(▲Fenderアンプのモデリング。EQはすべて5に設定。)
CLリア音源(ハムバッカー)
▼【CLリア】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CLリア】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【CLリア】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CLリア】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
V&T:250kΩと、V&T:500kΩを聞き比べると、やはりハムバッカーは500kΩの方が輪郭がハッキリとしています。一方、250kΩはやや曇って聞こえると思います。
V&T:500kΩの場合は、1.5k~3kHz付近が1番よく出ています。V&T:250kΩでは、60Hzは1番出ていますが、300Hz、1kHz付近にやや凹みが見られます。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、V:250kΩ、T:500kΩの方が高音域の抜けが良く、V:500kΩ、T:250kΩはデフォルトとさほど変化はありません。
CLフロント音源(シングルコイル)
▼【CLフロント】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CLフロント】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【CLフロント】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CLフロント】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
やはりシングルは、相性の良いV&T:250kΩが最も太く、芯のあるサウンドです。V&T:500kΩはメリハリがありますが、中低音域が抑えられて軽いサウンドに感じます。
波形を見ると、500kΩがどこかに入ると ”200Hz、4kHz付近がプッシュ” され、”60Hz、250Hz、8kHz、10kHz付近がやや抑えらる” 傾向が分かります。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、やや金属音が付加される印象で、V:250kΩ、T:500kΩの方が「ジャリ!」と鳴る帯域が強調されています。
【検証】クランチ
(▲Fenderアンプのモデリング。EQはすべて5に設定。)
CRリア音源(ハムバッカー)
▼【CRリア】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CRリア】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【CRリア】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CRリア】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
クリーン同様に、V&T:500kΩが最も輪郭がハッキリとしています。V&T:250kΩは、単体で聞くと問題ないですが ”バンドの中では抜けがイマイチ” と感じるかもしれません。
波形を見ると、500kΩがどこかに入ると ”1.2kHz、6~7kHz付近がプッシュ” され、”60Hz以下が抑えらる” 傾向で、250Hz~500Hzは歪みやすくなっています。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、V:500kΩ、T:250kΩはV&T:250kΩ寄り、V:250kΩ、T:500kΩはV&T:500kΩ寄りのサウンド傾向です。
CRフロント音源(シングルコイル)
▼【CRフロント】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CRフロント】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【CRフロント】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【CRフロント】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
対応ジャンルや音の好みによりますが、筆者としてはフロントP.Uはやはり甘めの音が欲しいので ”V&T:500kΩは高音域が強調されすぎる” という印象です。
波形を見ると、500kΩがどこかに入ると ”200Hz、400kHz、1kHz、10kHz付近がプッシュ” され、”130Hz、600Hz付近がやや抑えらる” 傾向です。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、ピックが弦に擦れる音の帯域が増幅され、V:500kΩ、T:250kΩの方がバランスは悪くないかなという感触です。
【検証】オーバードライブ
(▲Orangeアンプのモデリング。EQはすべて5に設定。)
ODリア音源(ハムバッカー)
▼【ODリア】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【ODリア】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【ODリア】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【ODリア】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
オーバードライブではサウンド差が少なくなり、V&T:250kΩもアンプ側の調整で問題なく対処できますが、やはりV&T:500kΩが最も音抜けが良いと感じます。
波形を見ると、500kΩがどこかに入ると ”3kHzと10kHzの手前がプッシュ” され、”125Hz以降が抑えらる” 傾向で、600Hz以降は歪みが増えます。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、V:250kΩ、T:500kΩはクセ(中音域)が前に出やすく、V:500kΩ、T:250kΩは太さがある印象です。
ODフロント音源(シングルコイル)
▼【ODフロント】V:250kΩ、T:250kΩ ▼
▼【ODフロント】V:250kΩ、T:500kΩ ▼
▼【ODフロント】V:500kΩ、T:250kΩ ▼
▼【ODフロント】V:500kΩ、T:500kΩ ▼
オーバードライブになるといずれも似たような波形になり、V&T:500kΩでも高音域の違和感が緩和されます。アンプ、エフェクターで調整可能な範囲ではないでしょうか。
波形を見ると、500kΩがどこかに入ると ”4kHzと10kHzの手前がプッシュ” され、”800Hz、3kHz付近がやや抑えらる” 傾向です。
VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない場合ですが、V:250kΩ、T:500kΩの方が張りがあり、V:500kΩ、T:250kΩはV&T:250kΩとほぼ同等のサウンドです。
さいごに
検証結果
- V:250kΩ、T:500kΩ
・V&T:500kΩ寄りのサウンド。
・ピックアップのクセ(中音域)が強調される。 - V:500kΩ、T:250kΩ
・V&T:250kΩとほぼ同等のサウンド。
・シングルコイルのCL、CRで僅かに高音域が強調される。※V … ボリューム、T … トーン
検証結果から、”VolumeとToneのポット抵抗値を揃えない=Toneポット抵抗値の影響が大きい” ということが分かりました。Volumeポット抵抗値の影響はほんの僅かでした。
筆者としては、シングルコイルとハムバッカーが混在(SH、SSH等)する場合、「V:250kΩ、T:500kΩ」はサウンドコントロールしやすいのでおすすめです。
今回は自宅にあった国産ポットで検証しましたが、メーカーによってもサウンドが変わってきます。興味のある方は、ぜひこちらの記事も読んで参考にしてみてください。
今回はここまで!それでは快適なギターライフを♪
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